8月に入り、税理士試験を受験する方達は最後の追い込みをかけているのではないでしょうか?
さて、税理士を目指す受験生の多くの方は会計科目の簿記論と財務諸表論を合格してから税法科目の合格を目指す方が多いと思われます。
そこで、多くの受験生が迷うのが会計科目合格後に何の税法科目を受験するかです。実は、この選択が税理士になれるかどうかの分かれ道となります。タイトルにあるように税法科目で最初にチャレンジすべき消費税法と考えます。その理由を紹介します。
税理士試験における税法科目の選択において実務と受験は切り離すべき
受験生に人気な税法科目は法人税法・消費税法・相続税法
受験生の方の多くが、税理士試験の税法科目を法人税法・消費税法・相続税法を選びます。その理由は、この3法は実務において必要な知識であるからです。
受験生の多くの方が会計事務所に働きながら税理士試験の合格を目指しています。受験勉強をしながら実務に活かすことができる!!これは一石二鳥ですよね。
もちろん、この3法に合格することは実務において大きな武器となります。しかし、この3法にこだわりすぎると税理士になるための道のりが長くなる可能性があります。
法人税法・相続税法はボリューム大かつ難関な税法科目
法人税法と相続税法は他の税法科目に比べ出題範囲のボリュームが大きくかつ難関な税法科目です。
あなたが学生や受験浪人で十分な勉強時間があるなら、1年で科目の範囲を網羅することができると思いますが、多くの受験生が働きながら受験勉強をするため合格ラインに立つために最低でも2、3年の期間が必要です。
無理してボリュームのある税法科目を選択をする必要はない
法人税法と所得税法は必須科目ですから5科目合格を目指すなら避けることはできませんが、相続税法は必ずしも合格する必要はありません。
税理士になってからも相続税法の勉強はできますし、毎年、法改正が行われますので合格したからといっても勉強が必要となります。
ですので、実務に必要だからといってあえて税理士になるために過酷な道を選ぶ必要はないのです。上記の記事においてもまとめていますので、ご参考にして頂けると幸いです。
ボリュームが少なすぎる税法科目の合格ラインは100点!?
では、受験するなら結論的にボリュームの少ない税法科目を選ぶべきでしょうか?それはそれで過酷な道を選ぶこととなります。
合格点は60点 しかしふたを開ければ税理士試験は相対試験
国税庁のHPによると税理士試験の合格率は60%とうたっています。だったら、ボリュームの少ない税法科目を選べば試験範囲を網羅できるため60%って楽勝じゃない?と考えるかもしれません。
しかし、実際の税理士試験は違います。受験者数全体の上位約10%しか合格出来ない相対試験なのです。
99点でも不合格になり得る過酷な相対試験
例えば、あなたの点数が40点だったとします。他の受験生が40点未満であれば、60点に達していなくてもあなたは合格となります。
もちろん、その逆もあります。あなたが99点でも他の受験生が100点であれば、あなたがたった1カ所の凡ミスしただけで不合格となるのです。
酒税法・国税徴収法の受験を目指すなら1カ所のミスが命取り
一般的にミニ税法と呼ばれる酒税法や国税徴収法は法人税法等に比べ、実務ではほとんど使いませんが、1年で試験範囲を網羅できるため忙しい社会人受験生にとっても合格ラインに達しやすい税法科目です。
しかし、逆を返せば、受験生の多くが合格ラインに達した状態で挑んでくるため、たった1点を落とす凡ミスでも命取りになります。
税理士試験は1年に1回の試験です。よっぽど本番に強い方以外はチャレンジすべきではないでしょう。合格ラインに達しやすい=合格しやすいわけではありませんので注意が必要です。
なぜ税理士試験の税法科目で消費税法がおすすめする3つの理由
以上のように税法科目でも色々な特徴があります。では、タイトルにあるようになぜ消費税法がおすすめなのでしょうか?
理由① 受験者数が多いため相対試験であれば合格人数も多い
上の表は国税庁のホームページが抜粋させて頂いた平成30年の合格率の表です。相対試験であれば当たり前ですが、受験者数が多ければその分合格者数の人数も多くなります。
事業税では合格者がたった46人に対し、消費税法は同じ税法科目でも833人の20倍の合格者数がでています。椅子取りゲームのように少ない椅子を争うよりも多くの椅子を争った方が楽ですよね。
理由② 受験者数が多いということは合格ラインに達していない受験者数が多い
これは会計科目においてもいえることですが、受験者数が多いということは合格ラインに達していない受験者も多くなります。
たとえば、簿記論は大手受験学校でも税理士試験の入り口としている科目です。ですので、全く勉強してなくても記念受験してくれる受験者が多くなります。
一方で、酒税法などはどうでしょう?試験範囲が狭いため合格ラインに達しやすい分、記念受験をする受験者数も必然的に少なくなります。
消費税法の受験者数は7,859人ですので、全員が合格ラインに達しているとは到底、考えられないため、合格率のパーセンテージ以上の合格者を輩出してくれると考えることができます。なお、税理士試験の受験者達はこのような合格ラインに達していない受験者を分母と呼びます。
理由③ 消費税法は実務でも使えるのでモチベーションを維持しやすい
冒頭で受験と実務は切り離せと述べましたが、やはり人間は何かやり遂げるためにはモチベーションが大切です。
モチベーションを保つために実務に役立つ法人税法・相続税法を選択するのも一つですが、目指すはモチベーションを保つことではなく、合格することです。
かといって、酒税法や国税徴収法など実務ではほとんど使わない科目を1年かけて勉強するのも大変です。
消費税法であれば、ある程度のボリュームかつ実務でも役立つため受験のモチベーションを保つためにちょうど良い税法科目といえるでしょう。
税法科目の合格科目があれば税理士への道も近い
消費税法の合格ができても、結局は他の税法科目2科目合格しなければならないでしょ?と考える人もいるかもしれません。
しかし、税法科目を合格しているかいないかで雲泥の差なのです。
本当に税理士になりたいなら大学院の道も視野にいれよう
税法科目に1つでも合格していれば大学院に通うことで税法科目の免除の道が見えてきます。大学院の道を選択すれば最短で2年で税法科目2科目をクリア出来るわけですから、最短で税理士を目指すことができます。
税法科目の合格は難関な道です。変なこだわりをもたず、最短ルートで合格を目指すことにこころがけましょう。
大学院進学は税理士になるための逃げ道ではない
受験生の中には大学院進学は逃げだと考える人も多くいます。しかし、よく考えて下さい。税理士に5科目合格税理士・大学院免除税理士という区分はありますか?
クライアントにとっては同じ税理士なのです。また、大学院に通えば誰でも税理士科目免除になるわけではありません。多くの裁判例や見聞や参考書を昼夜読み、論文を作り上げなければなりません。
税理士試験を暗記の試験と割り切ってしまえば、もしかしたら税理士試験の方が楽と考える人もいるかもしれません。
さいごに
いかがだったでしょうか?今回は税理士試験の合格するためにおすすめする税法科目が消費税法であることを紹介しました。
もちろん、どんな税理士になるかは受験生それぞれできっと違うでしょう。しかし、例えそのビジョンが素晴らしくても、税理士になれなければ元も子もありません。
受験は受験と割り切り最短で税理士試験をクリアし、あなたの目標を実現しましょう。