税理士試験の免除者として官報に名前が記載したことを機に、税理士試験について多くの方に知ってもらおうと情報を発信しています。
今回は、税理士試験にせっかく挑戦しようと考えている人にとっては残酷な話になるかもしれません。しかし、税理士試験に限らず、以下の本のように資格取得のために長い年月をかけてしまうと人生を狂わせてしまう可能性が十分あることも知っておいて欲しいのです。
今回は、経験者だからこそ書くことができる資格取得を目指している人への警告のための記事です。
Contents
税理士試験合格に要する期間は平均約○○年という衝撃な結果に
東京税理士会の調査によると、税理士試験に合格するために要する平均期間が9年という衝撃的な調査結果があります。
私も、実際に税理士試験をクリアするために7年間の年月を要しました。もちろん、私とは違い、3年以内にクリアしてしまう強者もいます。
税理士試験の最大の特徴の科目合格制が勉強期間を長引かせる
なぜ、税理士資格を取得するために必要な税理士試験に合格するために平均約9年もの年月を要するのでしょうか?
その原因が税理士試験の最大の特徴である科目合格制にあります。公認会計士や社会労務士などの資格試験の多くは複数の受験科目であり、一度の試験において全ての科目の対し、合格点を達しなければなりません。
しかし、税理士試験は複数年で会計科目・税法科目のうち5科目に合格すれば、税理士の資格を取得することができます。
大手専門学校が売りとする「諦めなければ必ず税理士試験に合格できる」に騙されるな
税理士試験対策を行う大手専門学校はこの「科目合格制」を売りに税理士試験は「諦めなければ必ず税理士資格を取得できる」を謳い文句で、多くの受験生を集めています。
誤解して欲しくないのは、別に大手専門学校が受験生を騙して、集客しているわけではありません。
この科目合格制の特徴は、一度合格してしまえば、永久的に有効な点です。ですので、理屈的には、諦めずこつこつと科目合格を積み上げていけば、必ず税理士試験に合格はできるのです。
税理士試験に何十年かけても合格できない人は合格できない 悲しい現実
何年かけても1科目も合格できない人はたくさんいる
税理士試験に合格するために必要な期間が平均9年。何年かけても最終的に合格できればいいのですが、残酷な表現ですが、税理士試験に何十年チャレンジしても、結局1科目も合格できない受験生も多くいます。
私も働きながら専門学校に数年間通っていましたが、毎年、同じ科目の教室に入っていく受験生を多く見てきました。
また、長い年月かけても結局、合格できず諦めて会計業界で働く人も多くいらっしゃいます(決して、合格が全てとはいいません。合格していない方でも税理士よりも優秀な人はたくさんいます)。
一番厄介なのは中途半端に科目合格してしまった受験生
一番厄介な立ち位置にいるのが、中途半端に科目合格してしまった受験生です。
なぜなら、何年もかけても合格できないなら、いつかは諦めがつきます。しかし、中途半端に2科目合格してしまったことで、逆に税理士試験から手を引くことに躊躇してしまう傾向が強くなってしまいます。
私も実際に税理士試験を諦めたくても諦められない受験生の一人だったと思います。なぜなら、せっかく苦労して科目合格出来たのに今さら諦めるなんて。苦労したからこそ、誰だって諦めるという選択を簡単に選べるはずがありません。
簿記論・財務諸表論の合格からが税理士試験の本当のスタート
個人的に簿記論と財務諸表論は税理士試験の科目で比較的に合格しやすい科目だと考えています。
なぜなら、専門学校の多くは税理士試験にチャレンジするなら、まず簿記論・財務諸表論と勧めています。実際に多くの受験生がこの2科目から受験する傾向があります。
税理士試験は絶対評価ではなく、相対評価試験です。
いくら難問の年でも上位10%に入れば、必ず合格する試験です。このように考えると簿記論と財務諸表論は他の科目に比べ記念受験の比率も必然高くなり、ちゃんと勉強すれば、記念受験組が不合格の母数となり、合格率以上に合格する可能性があります。
しかし、法人税法などの税法はどうでしょう。一般的に税法科目は簿記論・財務諸表論に合格した人からチャレンジする傾向があるので、受験生の母数のレベルは会計科目に比べ断然と高くなります。
この中で10%以内を争う訳なので、まさに地獄のレースといっても過言ではないのです。税法科目の受験が本当の税理士試験のスタートなのです。
税理士試験にチャレンジするなら必ず挑戦期間を決めよう!
大学卒業して受験専念するならせめて3年以内・社会人はせめて1年
税理士試験に関わらず資格試験のために社会に出ずに受験専念するなら必ず挑戦する期間を決めて下さい。試験合格が人生の全てではありません。
私の知り合いにも、大学卒業してから一度も社会に出ずに10年以上受験勉強に専念している人がいます。もちろん、人それぞれの人生ですから私がとやかくいうことではありません。
しかし、10年も社会に出ないとなると、結果的に資格に合格出来たとしても、社会でのマナーやコミュニケーション能力もなく仕事を得ることは困難でしょう。
個人的には大学卒業してすぐ受験専念するなら3年以内・社会人を経験してからならせめて1年でしょう。もちろん、最悪の事態を考え合格出来無かった場合、年齢が増せば増すほど受験専念後の社会復帰が難しくなることを考えてみましょう。
あなたが受験勉強に専念している間 同級生は社会的地位を得ていることを忘れるな
私は働かないで受験専念した期間はありませんが、いつも受験勉強中に心がけていたことがあります。それは、受験勉強している間、あなたの同級生達は着々と社会での地位を築いているということです。
いくら受験勉強に力を入れていても、合格しなければ誰も評価してくれません。しかし、社会で揉まれている同級生は苦労しながらも着々と社会での地位を得たり、結婚をして子どもをもったりしているのです(決して、受験生が家族を持つなとはいいません。しかし、必然的に家族に負担をかけているのは忘れないで下さい)。
最後に
今回は、せっかく税理士試験にチャレンジしようとしている方の出鼻をくじく記事になってしまいましたが、これが税理士試験に関わらず資格試験にチャレンジするうえでの専門学校が教えてくれない悲惨な現実なのです。
試験合格が目標ではいけない。合格してからのビジョンが大事
そして、資格試験に合格することが目標ではいけません。合格してからがスタートです。合格して何を実現させたいのか、何を成し遂げたいのか、そんなビジョンがないのであれば資格試験は一刻も早く、諦めるべきでしょう。
たかが、資格を取ったところでバラ色の人生は待っていませんので。