毎年9月になると税理士試験対策の専門学校にて新しい講座が始まります。
8月の税理士試験を終え、新たな気持ちに切り替えてスタートを切る人がいる一方で、残念ながら税理士試験を諦めて別の道に進む人もいます。
いつもは税理士試験の合格のための記事を書いていますが、今回は税理士試験を諦めることについて考えていきます。
Contents
税理士試験を諦める決断は英断と考える
税理士試験は他の国家試験に比べ諦める決心がつかない試験
税理士試験は他の国家試験に比べ、諦める決心はなかなかつきません。理由は税理士試験の仕組みにあります。
税理士試験は11科目のうち5科目に合格することで、税理士資格を得ることができます。税理士試験の最大の特徴ですが、科目合格制で一度、科目合格してしまえば、死ぬまでその科目合格は有効となります。
ですので、専門学校のパンフレットや合格体験記には「諦めなければ合格できる」という謳い文句で税理士試験の受験生のモチベーションを維持させています。
科目合格してしまうと余計に諦める決断ができない
しかし、一方で、一度科目合格してしまえば、一生履歴書に載せることが出来る一方、諦める時期を決断することが難しいとも言えます。
せっかく、4科目合格できたのに今さら諦めたくないというパターンで10年過ぎてしまう人も残念ながら存在します。
また、一番多いのが簿記論、財務諸表論は合格出来ても、法人税法などの税法科目がなかなか合格出来ないという人です。一見、残り3科目も残っているじゃないかと思われますが、税法科目1つ合格すれば、大学院に進学することで税法2科目免除できるので、晴れて税理士になることができるのです。
そのような税理士試験を諦めるという決断は、英断といっても過言ではないでしょう。なぜなら、過去の自分を捨てて新たな道に進もうとしているわけですから。
税理士試験を長年勉強してしまうことで失うこともある
本来、得るべき知識を吸収することができない
私事ですが、税理士という職業柄、様々な本を読んでいます。今、読んでいるのが、公認会計士・税理士の鳥山昌悟さんの「最強の節税」です。
私が知らなかった節税方法も記載されており、明日からこの知識をクライアントに還元できるぐらい面白い本です。
それはさておき、税理士試験の受験生時代は正直、他の本を読む余裕がありませんでした。むしろ、他の本を読む時間があるなら、理論の教科書か計算を解いていた方がいいという異常な状態でした。
しかし、クライアントにとって有益な情報は、理論に載っている法律ではなく、1円でも節税ができる方法論なのです。
税理士は税金以外にも経営など様々な知識が必要
また、税理士は、中小企業の経営を支えていく立場でもありますから経営の知識も必要となります。
この本も経営における戦略、マーケティングなどを学ぶ上で読むべき本50冊をまとめた本でとても勉強になります。
何が言いたいかというと、税理士試験の勉強に長年浸かってしまうと、本来得るべき知識が吸収できなくなってしまうのです。税理士試験では、毎年毎年、同じ内容を丸暗記。これでは何年経っても知見は広がっていきません。
税理士試験の長丁場は友達を無くすこともある
社会人にとって税理士の試験対策の専門学校には土日に通う必要があります。
友人、友達が土日遊んでいる中、受験生たちは専門学校で勉強しなければなりません。むしろ休みの日に勉強しなければ合格することができません。
1,2年であれば大丈夫ですが、これが5年も友達と疎遠となってしまうと、大事な友達を失ってしまう可能性があるのです。
税理士だけが職業じゃない!魅力的な仕事はたくさんある
最後に、税理士試験に合格することに諦めるか迷っている人に伝えたい事は税理士だけが職業ではありません。
むしろ、税理士という職業はAIの台頭により衰退して行くであろう職業といわれています。何十年かけて合格したのに全然ごはんが食べられない可能性もあるのです。
税理士試験を諦めることにより新たな素敵な可能性を見つけることができるかもしれません。諦めてしまっても、決して負け組ではないのです。