新型コロナウイルス感染症の影響により、生活習慣のみならず働き方においても大きな変化が生じています。大きな変化の一つは、在宅テレワークの導入ではないでしょうか?
新型コロナウイルス感染症の流行する前にも働き方において見直しがされており、在宅テレワークのの導入により、政府が推進している働き方改革に拍車をかける勢いが見受けられます。
国も在宅テレワークを推進しておりテレワークに係る助成金や税制優遇を発表しております。今回はテレワーク導入による助成金と税制支援を紹介します。
Contents
最大100万円の助成金 テレワークコース助成金とは
テレワークコース助成金の概要
テレワークコース助成金は、「働き方改革推進支援助成金(旧:時間外労働等改善助成金)」に新型コロナウイルス感染症対策を目的とした取り組みを行う事業主を支援する特例コースとして時限的に設けられた助成金です。
このテレワークコースは対象となる事業主が令和2年2月17日から5月31日までに、以下の2要件を満たした場合に、補助率2分の1(上限100万円)の助成金が支給されます。
テレワークコースの要件
- 助成対象の取組を行うこと
- テレワークを実施した労働者が1人以上いること
テレワークコース助成金の対象事業主
この助成金の対象となる事業主は、新型コロナ対策としてテレワークを新規で導入し、労働者災害補償保険(労災保険)の適用がある中小企業事業主のうち、以下の①か②のいずれかを満たす企業となります。
なお、テレワークを制度化していないものの、労働者の若干名が数回試行的に実施した場合も、対象となります。
助成対象の取組とは? 令和2年4月28日以降に助成対象拡大
要件にある助成対象の取組を確認していきます。具体的な取組は以下の通りです。
- テレワーク用通信機器の導入・運用
- 就業規則・労使協定等の作成・変更
- 労働管理担当者に対する研修
- 労働者に対する研修、周知、啓発
- 外部専門家によるコンサルティング(社会保険労務士など)
なお、令和2年4月28日より、助成対象が見直されました。令和2年2月17日以降の取組について以下の項目が対象となりました
- 受け入れている派遣労働者がテレワークを行う場合
- パソコンやルーター等のレンタル・リースの費用
これらの取組の実施で事業の実施期間内(5月31日まで)に支出した費用のうち、次の経費に該当する合計額の2分の1が助成額となります。
テレワークコース助成金の注意点
テレワークコース助成金への申請の注意点ですが、以上に挙げた取組は5月31日まで納品や支払等が完了していなければなりません。例えば、クレジットカード払いをしており、引き落とし日が令和2年6月1日以降の場合は対象とはなりません。
なお、令和2年4月28日より追加されたパソコンやルーター等のレンタル・リースの費用についても事業の実施期間内(5月31日まで)の経費であり、かつ、同日までに支出されたものに限られます。
また、上記での「テレワーク用通信機器の導入」とは、例えば、ウェブ会議用機器やクラウドサービスなどで、テレワークをするための必要性と専用性を満たしている必要があります。
よって、先日、紹介した在宅テレワークに必要なパソコン等は汎用性があるため対象外となり、プリンターやWi-Fiルータなどはテレワーク実施のためのみに使用されることが証明できない限り対象とはなりません。
申請の流れ
テレワークコース助成金の利用の流れですが、以下の流れとなります。
利用の流れ
- 「働き方改革推進支援助成金交付申請書」を事業実施計画書などの必要書類とともに、テレワーク相談センターに提出(締切は5月29日まで)
- 対象となる取組を実施 ※要件に合致する場合は、2月17日以降交付決定までの取組も助成対象となります
- 事業実施期間終了後、テレワーク相談センターに支給申請(締切は7月15日(水))
なお、他の助成金の支給を受けていても、措置内容が異なれば本助成金との併用が認められる場合があるようです。交付申請前に、テレワーク相談センターに相談をしてみましょう。
中小企業者等に対するテレワーク等のための設備投資減税
テレワーク等のために設備投資を行う中小企業者等を支援する観点から、中小企業経営強化税制の改正が行われ、デジタル化設備に係る投資減税が追加されることになりました。
現行の中小企業経営強化税制の概要
この制度は、青色申告者(個人事業者または法人)である中小企業等経営強化法の認定を受けた中小企業者等が、指定期間(平成29年4月1日から令和3年3月31日までの期間)内に、経営力向上計画に記載された新品の特定経営力向上設備等を取得等をして、これを国内のその中小企業者等の営む指定事業の用に供した場合には、以下の項目を選択適用することができます。
- その特定経営力向上設備等につき即時償却(普通償却限度額との合計額で取得価額の全額を償却)
- 取得価額の10%相当額(資本金の額等が3,000万円超の法人などにあっては、7%相当額)の税額控除
なお、税額控除は、その年の事業所得に係る所得税額の20%またはその事業年度の法人税額の20%が上限となります。
改正後の中小企業経営強化税制の概要
中小企業経営強化税制の適用対象設備等である「特定経営力向上設備等」の範囲に、遠隔操作、可視化または自動制御化に係る要件を満たすことにつき経済産業大臣の認定を受けた投資計画に記載されたデジタル化設備(機械装置、工具、器具備品、建物附属設備及びソフトウェア)が加えられることとなりました。
なお、具体的な申請方法は、中小企業庁等に確認をよろしくお願いします。
デジタル化設備の具体的な対象とは
なお、デジタル化設備における「遠隔操作」「可視化」「自動制御化」の具体的な対象設備は以下のとおりです。
遠隔操作
- デジタル技術を用いて、遠隔操作すること
- 事業を非対面で行うことができるようにすること
- 事業に従事する者が、通常行っている業務を、通帳出勤している場所以外の場所で行うことができるようにすること
可視化
- データの集約・分析を、デジタル技術を用いて行うこと
- 1のデータが、現在行っている事業や事業プロセスに関係するものであること
- 1により、事業プロセスに関する最新の状況を把握し経営資源等の最適化を行うことができるようにすること
自動制御化
- デジタル技術を用いて、状況に応じて自動的に指令を行うことができるようにすること
- 1の指令が、現在行っている事業プロセスに関する経営資源等を最適化すること