6月21日に官報により税理士試験の免除者の氏名が公表となりました。
今回の官報により、私の名前も載ることができ見事官報合格を果たすことができました。今回は私が挑戦し続けてきた税理士試験について紹介していきます。
Contents
そもそも税理士とはどんな仕事?
街を歩けば、税理士事務所や税理士法人という看板を多く見る機会があると思います。しかし、税理士の仕事を具体的に知っている人も少ないと思われます。
税金に関する業務は税理士の独占業務
納税は国民の3大義務の一つですが、その税金のスペシャリストとして、納税のアドバイスや申告書の作成を行う職業が税理士です。税金に関する業務は税理士の独占業務(税理士だけに認められた業務)であり、有償はもちろん、無償で業務を承っても税理士法違反になるのです。
具体的な税理士の独占業務である税金に関する業務は以下のとおりです。
- 税務書類の作成
確定申告などの税務官公署に提出する申告書、請求書などを、税理士自らの責任と判断において作成すること。 - 税務代理
税に関する法令に基づき、税務官公署に対して、申告、申請、請求などを納税者に代わって行うこと。 - 税務相談
具体的事例に基づき、所得金額や税務の計算などの相談に応じること。
税務・会計業務の他にも、税金に携わるうえで企業の会計に関わることから、「企業の安定・成長」につながるコンサルティング業務を通じ、顧問企業の発展に貢献できるやりがいのある職業です。
税理士試験はどんな試験?
税理士試験は名前のとおり、国家資格である税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的として国税審議会が行う試験です。
税理士試験の試験科目は11科目!?合格のためには5科目合格する必要あり
税理士試験の試験科目は会計科目2科目と税法科目9科目の11科目あります。詳細は以下のとおり。
会計科目
税法科目
5科目合格のうち、会計科目の簿記論・財務諸表論は必須科目で必ず、受験し合格しなければなりません。
なお、残りの3科目は税法科目に合格する必要がありますが、法人税法または所得税法のいずれかは受験し、合格する必要があります。さらに消費税法と酒税法・住民税と事業税はいずれかの受験しか認めないなど細かな制約もありますので注意が必要です。
税理士試験の最大の特徴 科目合格制
また、これは税理士試験の最大の特徴ですが、税理士試験は科目合格制をとっており、受験者は一度に5科目を受験する必要はなく、1科目づつ受験してもよいことになっています。
ですので、忙しい社会人でも比較的に受験し、合格しやすい国家試験といえます。私自身も税理士試験は一般企業や会計事務所に勤めながら1科目づつ合格していきました。
税理士試験対策の専門学校が公表している各科目の合格までに要する勉強時間を参考にして、毎年どのように受験をしていくのも手でしょう。
税資試験の受験資格は!?大学卒業だけでは受験できない
税理士試験に受験するための要件とは?
税理士試験は、願書を出せば誰でも受験できる試験ではありません。実は、税理士試験に受験するためにも様々な受験資格を要します。
様々な受験資格はありますが、代表的な受験資格は以下のとおりです、
- 大学、短大又は高等専門学校の、法律学又は経済学を主たる履修科目とする学部(法学部、経済学部、商学部、経営学部)・学校を卒業した者。
- 大学、短大又は高等専門学校の、上記以外の学部(文学部、工学部など)・学校を卒業し、法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者。
- 2年以上の修業年限の専修学校の修了者(課程の修了に必要な総授業時数が1,700時間以上に限る。また専門士称号を受けた者はこの条件を満たしている。)であり、当該学校において法律学又は経済学に属する科目を1科目以上履修した者。
- 日本商工会議所主催簿記検定1級または全国経理教育協会主催簿記能力検定上級合格者。
- 法人又は事業を営む個人の会計に関する事務若しくは税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助の事務に3年以上従事したもの
私自身は、外国語学部の大学を卒業しており、在学中にたまたま受けた経済学に属する科目を履修していたため、受験することができました。
大学生のときは将来のことは何も気にせず授業を受けていたため、まさか何気なく受講した共通科目おかげで税理士になるとは、そのときは夢にも思わないでしょう。
大学卒業していなくても簿記検定合格や実務経験が3年あれば受験可能
大学卒業以外にも、簿記検定1級合格や税理士事務所の事務3年以上従事することで税理士試験に受験資格を得ることができます。
自分自身が受験資格があるかどうかは国税庁のQ&Aにも公表されていますので、そもそも受験資格があるのか確認してみましょう。
税理士試験の気になる合格率は?税理士試験の実態は相対評価試験
税理士試験に関わらず、どんな試験に関しても気になるのは合格率ですよね。下図が平成30年に実施された国税庁HPから抜粋した税理士試験の合格率の表です。
公表では合格点は各科目の60%以上 しかし実態は相対評価試験
国税庁から税理士試験の合格点は各科目の60%以上としています。しかし、これはあくまでも表向きの内容です。
税理士試験の実態は相対評価試験なのです。では相対評価試験とはどんな試験でしょうか?
相対評価の反対は絶対評価ですが、合格点が60点であれば、誰もが60点以上の点数をとれば誰もが合格となります。絶対評価試験が一般的な試験におけるポピュラーな評価方法です。
一方の相対評価試験ですが、合格点が60点だったとしても、皆が100点であなたが99点だったとしたらあなたは必然的に不合格になってしまう試験なのです。
合格率は10%から14%で推移 点数ではなく上位10%に入ることが合格の目安
以上の相対評価試験と考えれば、合格率の見方が判ると思います。60点以上を取った人が10%~14%ではなく、全体の受験者数10%に入ることが税理士試験の合格出来るか否かの勝負となるのです。
冒頭で述べたとおりに税理士試験を受験するために受験資格を要します。大卒のみならず簿記1級合格した受験者もライバルとなるため、熾烈な争いとなります。
また、法人税法をはじめとする税法は一般的に会計科目である簿記論や財務諸表論を合格した受験者数が受ける傾向があるため、会計科目以上に合格率範囲内に入るためには更なる競争があるのです。
最後に
今回は、税理士試験についての概要を紹介しました。税理士試験に挑戦し合格するまでに平均10年もの年月を要するといわれています。
10年も有するのは科目合格制による影響も大きいと思われます。一度挑戦したら、長丁場は必須でしょう。私自身も合格を勝ち取るまでに7年の年月を要しました。
今後、税理士試験に合格するまでの道のりや方法・アドバイスを踏まえ紹介していきます。