税理士試験を受けてから税理士になるまでの期間は約10年といわれています。数か月の勉強期間で済む試験であれば、昇給のため、趣味のためと資格を取得するための目的が明確だと思われます。
しかし、税理士試験のように勉強期間に長期間を要してしまう場合、そもそも何のために受験をしているのか分からなくなっている人も多くいるかと思われます。
今回は、税理士試験に合格する云々の前になぜ、税理士試験をはじめとする資格受験を受けなければならないのかを考えていきます。
Contents
資格を取れば人生安泰?そんなに人生甘くない
資格を取れば人生安泰?弁護士・税理士になってもご飯が喰えない時代に
一昔前では、税理士業や弁護士業などは資格さえ取ってしまえば、口を開けていればクライアントが増えるという時代がありました。
しかし、税理士法の改正等により、価格競争により顧問料の低価格化、長年の不況等により中小企業の激減により、顧客獲得に熾烈な争いが繰り広げられています。
クライアントが減る一方で、士業の人数は増えていることから需要と供給のバランスが崩れつつあり、弁護士・税理士になってもご飯が食べられない時代になっています。
残念ながら、士業の資格を取ったら今後の人生は安泰だと思っている人が少なからずいますが、決してそんなことはありません。
資格取得マニアは結局何もできない
ときどき、出会うのが、税理士の資格を取得したら、次は司法書士の資格に挑戦する、中小企業診断士の資格に挑戦するという方がいます。
確かに、これらの資格は税理士業を行ううえで欠かすことのできない知識です。しかし、なぜこれらの資格を取得する必要があるのか?今一度、考えてみましょう。
頭でっかちになっても、所詮、実務ができなければ使えない人材です。
業務も幅を広げるよりも資格を取得することが目的になっていないでしょうか?あらゆる資格を持っている人ほど、結局、この人は何が得意なのだろうと中途半端な人材になってしまいます。
であれば、税理士業の中でも相続関連の業務にとことん力を入れた方が差別化を図れるのではないでしょうか?
その税理士試験の勉強 趣味の範囲に入っていませんか?
長丁場の試験になると受験目的を失いがちになる
冒頭で述べたとおり、10年も受験勉強をし続けていると、そもそも何のために税理士試験の受験しているのか分からなくなってしまいます。
親が税理士だから後継ぎとして取得しなければならない、会計事務所に勤めていて将来は独立して一城の主人になりたいとそれぞれの受験目的があるかと思います。
今一度、初心に返り、何のために税理士試験・国家試験にチャレンジしているのか明確にしてみましょう。
目的もなく適当な理由で何となく受けているなら今すぐ撤退するべき
受験の動機が何となく受けている、資格を取ったら人生が変わるかもという適当な理由で税理士試験にチャレンジしているのならば、今すぐ試験勉強から撤退すべきです。
そもそも、士業のような資格は取得することがゴールではなく、取得した時点からスタートなのです。スタート地点で明確な目的なく立っているのであれば、どこにたどり着きたいのか分からない以上、必ず、人生失敗します。
なぜ税理士になりたいのか自問自答してみよう
公認会計士になれなかったから税理士になりたくなっていないか?
資格を取得する目的は人それぞれ違いますし、どんな理由であろうとも自由です。しかし、とりあえず資格が欲しいという理由だけであれば、撤退することが賢明です。
よく公認会計士になれなかったから税理士勉強をしているという人がいます。そもそも公認会計士と税理士の業務範囲はかなり違います。公認会計士は上場企業の監査を主の業務としており、税理士は税務相談が主であり、クライアントは主に中小企業となります。
勉強していくうち、中小企業のコンサルに携わってみたいというキャリアチェンジによる資格取得の変更なら結構ですが、妥協して税理士を目指すのであれば、やめた方が賢明でしょう。
税理士になったら何を実現したいか思い描いてみよう
税理士業に関わらず、資格を取得したら何を実現したいのか今一度、考えてみましょう。
資格を取得したら、昇給できるからも、立派は実現の目的といえるでしょう。税理士の資格をとったら、次は司法書士・社労士を取るという資格を取ることが目的となっているならば、資格取得マニアとして税理士を目指しているといえます。
資格は山ほどありますから、10年かかる税理士資格を撤退したほうが賢明です。
さいごに
私も受験生時代に税理士試験に落ち続け、そもそも何のために試験を受けているのか自問自答をしたことがよくありました。
結果的に、税理士資格を取得することができましたが、自問自答による振り返りにより長丁場の試験勉強のモチベーションを保つことができたと思います。
資格取得することがゴールではありません。資格取得してからがスタートです。なぜ、その試験を受けなければならないのか、今一度、自問自答してみましょう。